Q&A

エリクエンス製品の疑問にお応えします。

● 本体

Q:他の電気メスとの違いは?

波形の操作により切開や凝固をコントロールしている点では電気メスと同じ原理ですが、一般的な電気メスの周波数は500KHz(0.5MHz)前後に対して、サージマックスシリーズは4.0MHzと約10倍の高周波となります。この高い周波数が組織の炭化を抑えて侵襲幅を最小にしておりますので、金属メス切開同様の切開創癒合が行えます。また小さな力で蒸散を行えるためシャープな切れ味が感じられます。水中操作においてもエネルギー集中性が増し安全な切開凝固が可能です。一方、発熱量が小さいため大きな部位や血流の富む組織での凝固等では一般的な電気メスに及びません。サージマックスシリーズは微細な操作や侵襲を抑えた術野を得るのに有効な器械です。

Q:レーザーとの違いは?

発熱量の違い、組織への直接接触か非接触か、コストパフォーマンス等が挙げられます。レーザーの発熱量は非常に高く、瞬時に数百℃に及びます。また無機質にも反応し発熱させます。一方、サージマックスシリーズは体組織中の水分子の反応から発熱することから、組織に接触させなければ発熱しません。また表皮効果により、熱を浅く伝えられることからも非常に安全にご使用いただけます。非接触型であるレーザーは使用に習熟度を要するのに対して、サージマックスシリーズは容易に操作が可能です。

Q:サージマックスシリーズ本体に表示されるエラーコードの意味は?

エラーコード内容

01  ディスプレー系統のエラー

02  LED系統のエラー

03  キーパッド系統のエラー

04  処理装置にウォームリセット

06  ボンドセンサー系統のエラー

07  A/Dコンバーターエラー

08  フット/フィンガースイッチ系統のエラー

10  パワーアップ保護をしていない時にキーパッドを押した

11  パワーアップ保護をしていない時にフットスイッチやフィンガースイッチを押した

12  温度が限界を超えた

13  パワーテストエラー

15  出力の直線上の異常

16  EEPROM(プログラムメモリー)の読み取り異常

17  EEPROM(プログラムメモリー)の書き込み異常

Q:金属台の上に置いて使用できますか?

問題はございませんが、直接金属台に設置せず布等の絶縁物を敷いた上に設置してください。電極や対極板、コード類は金属に直接接触している場合は微量の高周波が流れる恐れが有りますので、使用時には接触しないようご配慮ください。なお、ノイズにより他医療機器への影響が有る場合は金属台もその要因になる場合が考えられますので、ご注意ください。

Q:附属品コードを巻いたり束ねたりして使用できますか?

コードを巻くことは避けてください。高周波電流はコイル状の動線には流れにくい性質を持っております。そのため、出力の低下や周辺アース電位の物質に高周波が流れやすくなり、分流やノイズの原因にもなりますのでご注意ください。

Q:ハンドピースや対極板コードと、他の医療機器コードの接触を避けなければならないのは何故ですか?

電磁波ノイズの影響を避けるためです。電流の発生するノイズ(雑音)を他の器機コードが受信し、誤作動や故障等を引き起こすことが考えられます。コード類は極力接近させないように設置、使用してください。

Q:電気メス複数台の同時使用はできますか?

他の電気メス、または2台以上のサージマックスシリーズ本体は同時に使用しないでください。また患者様への対極板装着を含めた複数台の同時セットアップもおやめください。高周波電流の分流により、患者様および手術スタッフに重大な損傷を与える可能性があります。

● 対極板

Q:対極板の装着位置について

術部に近い位置で全表面が接するように装着してください。

Q:対極板を本体に接続しない場合、アラーム音がなりますか?

ディスポーザブル対極板はサージマックスシリーズ本体との接続や断線だけでなく、患者様との装着に不具合が生じた際にもアラーム音(断続音)が鳴り続けます。アラームが鳴り続く場合は本体との接続、患者様への装着をご確認ください。

Q:バイポーラ凝固のみの使用時には対極板の接続は必要ですか?

バイポーラ凝固のみを使用する場合でも基本的にサージマックスシリーズには対極板の接続監視モニターが内蔵されており対極板が接続されていなければモードに関係なくアラーム音が鳴り続けます。なお、サージマックスエアのバージョン以降の機種に関してはモノポーラの3つの出力モードの出力設定数値をすべて0に設定することでモノポーラ出力はされずアラーム音を0にすることが出来ます。その状態でバイポーラ機能のみをご使用ください。

● 操作

Q:長時間の連続通電を行った場合はどうなりますか?

熱による回路劣化や故障を防ぐため、通電した状態が55秒継続すると警告音が鳴り始め、60秒経過(警告音5秒)すると通電がシャットダウンします(電源は落ちません)。シャットダウンが繰り返し行われると半導体部品の接合部が熱拡散により劣化し、冷却しても復帰する事なく出力低下等の不具合症状を誘発しますのでご注意ください。なお、サージマックスエアのバージョンからはベンチレーション機能を有しており、常に冷却することで本体内部温度の上昇を防いでいます。

Q:60秒の連続通電を繰り返すとどうなりますか?

熱による部品劣化を抑えるために連続通電時間を設定しています。繰り返しの使用でも同様に半導体部品は接合部の熱拡散により劣化し、冷却しても復帰することなく、出力低下等の不具合症状を誘発しますのでご注意ください。

Q:連続通電時の出力シャットダウンとはどういうものですか?

高周波出力回路の劣化や故障を防ぐために連続通電60秒で出力がシャットダウンする機能がついております(55秒で警告音が鳴り始めます)。シャットダウンを継続的に行うと加熱による回路の劣化を促進し、故障に至る場合があります。連続通電による器械本体の温度上昇を避けるようご使用ください。

Q:各モードの使い分けは?

①純切開(CUT)モードは、組織損傷を最小限(75〜100ミクロン)に抑え、針電極を用いることで金属メスと同等の切開を行うことが出来ます。またエネルギー集中性が非常に高いため、ボール型やスパチュラ型電極を用いることで組織蒸散作用が促されます。
②混合切開(CUT/COAG)モードは、比較的血流のある組織を凝固しながら切開する際に用います。皮下の切開剥離にはこのモードを使用します。
③凝固(HEMO)モードは、出血点の凝固に使用します。
④バイポーラヘモモードはマイクロ下等微小血管の止血に用います。より焦げ付きの少ない凝固が可能です。
⑤バイポーラターボモードは瞬時に強力な凝固を行えます。スピーディーな止血凝固や出血の多い部位、水中凝固やバイポーラ切開等で用いるモードです。

Q:CUTモードとCUT/COAGモードの違い

CUTモードは連続波形を用いており、主に皮膚切開、組織蒸散作用を得る場合に用います。
CUT/COAGモードは断続波形を用いており、一般的な電気メス切開作用、皮下剥離に用います。

Q:CUT/COAGモード、HEMOモード時に高い金属音がなりますが、不具合ですか?

組織接触時の発生音で不具合ではありません。サージマックスエアのバージョンからは独自波形技術を用いることで、従来機比40〜42%以上の凝固能がアップ(Duty比)しています。

Q:切開時の熱変性はどの程度ですか?

純切開(CUT)モードで細い(0.2mm以下)ワイヤー電極を用いた場合、熱変性は75〜100ミクロンまで低減できます。

Q:切開時の出血の止め方

①凝固モードにて電極の接触面を広く取ってください。
②エンパイアニードル電極を寝かせ、組織との接触面積を広くすると凝固効果が高まります。
③出血点を鑷子で把持し、通電させる間接凝固は有効な止血方法です。その際は凝固モードで行います。

Q:切開時の凝固力が弱いと感じますが?

切開時の凝固力のコントロールは、高周波電流による発熱量のコントロールであり、
①モードの選択
②電極の選択
③電極の操作速度
④出力数値設定
の4つの要素を適切に行うことにあります。特に電極の選択と操作速度は蓄熱量のコントロールを行う上で操作しやすい方法です。
出力操作は凝固効果を高める一方で組織炭化の助長にもつながります。

Q:凝固時にスパークや組織が黒くならないので、凝固が十分なのか不安を感じる

サージマックスシリーズは独自の整流波形を用いており、スパーク現象が起きるような高い熱量が発生しないため組織の炭化が抑えられています。そのため凝固箇所を視認でき、また凝固後の炭化組織の剥がれによる再出血を避けることができます。不安な場合は鉗子を用いた間接止血を追加することでしっかりとした止血凝固を得られます。

Q:ループ電極の使い方

組織に接触する前に通電を行います。接触してから通電を行いますとラジオ波エネルギーが電極に集中せず、接触組織に逃げて切りづらくなります。電極と組織の接触面積は可能な限り小さく保つとエネルギーが分散せず、抵抗なく切れます。また切除部位をウェットな状態に保つようにするとより通電効果が上がります。切除中に組織に引っかかる場合は無理に引っ張らず、一旦通電を中止して組織を湿らせてください。

Q:ループ電極が壊れやすい

次の点に注意してご使用ください。
①電極を組織に接触させる前に、出力を始めてください。
②出力が低すぎると電極接続部に荷重が集中し、金属疲労による損壊が生じます。
③切除部位をウェット状態にしておくと通電性が良く、焦げの付着も軽減できスムーズな切開が行えます。
④切除中に組織に引っ掛かるような時は無理に引っ張らずに、一旦通電を中止して患部から電極を抜き、新たに通電した状態から切り始めてください。
⑤焦げによる組織付着の除去や、洗浄の際の取扱いにご注意ください。

Q:術中に電極に付着した組織を取るには?

蒸気クリーニングを行ってください。生理食塩水を含ませたガーゼで軽く電極先端を包み、1〜2秒間通電しながら軽く拭き取ります。なお、本法はラジオ波出力によって可能となるクリーニング方法です。他の電気メスでは蒸気クリーニングはできません。

Q:ボール電極の使い方

①止血凝固を目的に使用する場合、組織に接触してから通電を行います。通電しながら接触させると蒸散作用が強くなるため効果的な組織凝固が促されません。
②一方、組織蒸散を目的に使用する場合、組織に接触させる前に通電を行います。
そうすることで接触の瞬間(接触面積が最小)にラジオ波エネルギーが電極に集中し、効率よく蒸散作用を得られます。またこの際には組織との接触面積を小さくすることを心掛け、組織を撫でるように操作すると通電効果が上がります。

Q:他社製品の電極類を取り付けられますか?

他社製品との接続に関しては、安全性を保証できませんので推奨しておりません。

Q:バイポーラ攝子の寿命は?

使用頻度、洗浄、保存、保管状態により異なります。通電により金属部は酸化し、洗浄を繰り返すことで残留蛋白の蓄積が進みます。正常な性能や清潔の維持のため、攝子先端の通電部分の変色を目安とした交換をお奨め致します。

Q:バイポーラコードの差込口の間隔が狭く、バイポーラフォーセップを接続できない

抜け落ち防止のため間隔が狭くなっておりますが、伸縮性のある素材のため、強めに差し込んでください。

● メンテナンス

Q:サージマックスシリーズの耐用年数は?

製造元の耐用年数は5年と定めています。また保守メンテナンス用部品供給は本体販売終了後7年です。

Q:修理・点検について

購入より1年間は無償修理、1年経過以降は有償による点検・修理を行っております。点検・修理期間中の代替器はご要望に応じて準備しております。尚、2016年4月1日よりエリクエンス社製品の点検・修理業務は委託会社「シーンズテック社」に全面移行しています。

Q:ビスのゆるみ等、独自で修理しても問題ありませんか?

ビスのゆるみ等は本体に対する負荷(振動や移動時の揺れ)によるものが大半であり、それに伴い内部部品の劣化も疑われます。部分的な修復・修正は行わず、修理委託会社へ点検・修理の依頼をお願いします。

Q:ヒューズの交換を行いたい

修理依頼をお願いします。ヒューズが断線した場合、過電流が発生しており内部部品の異常が推測されます。

Q:電極やケーブル類は修理できますか?

消耗品扱いであり、修理できない構造になっておりますので新たにご購入をお願いします。

● 滅菌・洗浄

Q:リユーザブル製品の薬液へ浸漬をしても良いですか?

酵素洗剤への浸漬は可能です。

Q:どのような洗浄液を使用できますか?

強い酸性・アルカリ性溶液は避け、中性洗浄剤をご使用ください。

Q:オートクレーブ前後の乾燥は必要ですか?

不十分な乾燥は、通電不良や劣化に繋がります。室温にて確実に乾燥させてください。

Q:プラズマ滅菌はできますか?

製造元での安全性の確認がとれていないため、現段階では商品の品質を保証できません。

Q:超音波洗浄機を使用できますか?

問題ありません。

Q:所有している滅菌器では、121℃/20分の設定ができません

132℃/20分など、推奨条件以外の設定でも滅菌は可能ですが、製品の消耗・劣化を早める可能性があることを予めご了承ください。

Q:ステリハイド サイデックスでリユーザブル製品を消毒しても大丈夫ですか?

45分以内の付け込みであれば問題ありません。必ずアルコール成分(引火性)が入っていない強い酸性の洗浄液、アルカリ性溶液でないことをご確認ください。また、消毒後は必ず滅菌を行ってください。

Q:グラスパーに附属されるキャップはそのまま滅菌できますか?

洗浄口用のキャップになりますが、滅菌しても問題ありません。

● 高周波機器の取扱い

Q:電波法とは?

総務省管轄法令で国内の無線制度の基本法です。無線設備の安全に関して人体に危害や物件に損傷を与えることがないよう施設基準を定めています。電気メスの利用には許可申請が必要と定められています。

Q:高周波利用設備許可申請とは?

電気メスなどの高周波機器の使用許可を得るための通信局に対して行う申請です。医療に用いる10KHz以上の周波数、50W以上の出力を発生する機器は申請が必要になります。

Q:高周波利用設備許可の申請方法は?

各地域の通信局のWebサイトに掲載されている申請方法をご覧ください。
総務省 電波利用ホームページ http://www.tele.soumu.go.jp/j/material/commtab1.htm
なお、サージマックスシリーズ納品時に同梱されている納品ファイルにファイリングされている取扱説明書内(P.31〜)に詳細が記載されております。なお、納品ファイルには機器を申請する際の申込書一式(見本)もございます。

Q:IEC規格とは?

国際電気標準会議 (International Electrotechnical Commission:IEC)が制定する国際規格で、電子機器から発生する電磁波ノイズの基準です。規格では機器から外部への電磁波放射レベルやケーブルを通して伝導されるノイズのレベルが規制されています。他の電気機器からの妨害を防ぎ、 他への影響を与えないようにすることを目的としています。IEC規格は待機状態での規格であり、動作時(通電時)のノイズ放射は規制されていません。動作時は周辺機器に影響を及ぼす可能性がありますので、各機種の添付文書の注意記載に従い、使用前に周辺機器に影響を及ぼさないか、影響を受けないか動作確認を行ってください。

Q:サージマックスエアは電磁波対策がされていますか?

エリクエンス社製サージマックスシリーズはその全てにおいてIEC規格基準に適応しています。

Q:IEC規格適合機種は、電磁波問題を起こさないのですか?

問題を起こす恐れはあります。JIS規格で定めたレベル、範囲、状況下では問題を起こしませんが、機器を密集させて配置したり、ケーブル類を平行させて配線する等を行った場合は、IEC規格適合機種でも影響を引き起こす可能性があります。

Q:電磁波により周辺機器は誤作動を起こしますか?

全ての電気メスは高周波を使用しているため、少なからず周辺に電磁波を飛散させています。様々なノイズを完全に無くすことは不可能なため、各機器側で誤作動を起こさないように防衛する必要があります。機器によってはシールドやフィルターなどの防御措置がなされていますが、電磁波の程度や設置環境により影響も異なります。各機器の添付文書に基づいて、使用前の動作確認の際には周辺機器への影響もご考慮ください。

Q:電磁波問題が発生した場合は?

周辺機器などの影響により異なりますが、一般的には十分な距離を保つよう機器配置を変更したり、等電位設置をしたり、電源の取り方や配線を変えて対応します。またノイズフィルターの取り付け等も有効です。

● 安全管理

Q:対極板と人体の間に血液等液体が付着すると、感電や熱傷のリスクが増しますか?

基本的には問題ありません。高周波は微量の液体であれば影響を受けません(体組成水分比が著しく変わらなければ問題ありません)但し、液体による抵抗値が増せば、出力低下といった影響が出ます。その際は対極板と患者様との間の液体等を拭き取るなど正常な抵抗値に戻してください。

Q:妊婦、不整脈、人工内耳、金属の埋め込みなどをされた患者様にサージマックスシリーズを使用できますか?

高周波が胎児、不整脈、人工内耳、金属へ与える影響について、安全性を保証するデータはありませんので、ご使用は控えていただくようお願いします。

Q:通電時に患者様と接触しても大丈夫ですか?

高周波はより小さい面積の箇所に集中しやすい性質を持っています。対極板の設置面積が小さい場合や術部から遠い場合には通電を感じることがあります。その際は対極板の設置場所の変更やゴム手袋の着用(絶縁)などを行ってください。

Q:電源の3Pプラグアース端子を接続しないとどうなりますか?

アース端子は必ず接続してください。電気メスには商用100V、50/60Hzを電源に使用しているため、漏れ電流が発生した場合は感電などのリスクを伴います。アースが接続されていれば、漏れ電流を逃がすことができますので、サージマックスシリーズに限らず医療機器のアース接続は行ってください。

Q:電極のコーティングに剥がれがありますが、使用できますか?

コーティングが剥がれた箇所から高周波が分流する可能性がありますので、使用はお止めください。

● その他

Q:ユーザー登録(WEB登録)は必要ですか?

医療機器製造販売後安全管理の基準に関する省令(GVP)に基づき、弊社では医療機器の品質・有効性・安全性及びトレーサビリティ(追跡履歴管理)の確保のため、適宜、安全管理情報の送信(メール配信等)を行っております。是非とも機器管理者の方には登録をお願いします。

Q:サージマックスシリーズ使用による保険点数の加算はありますか?

加算はなく、それぞれの診療報酬(手技)に応じた請求になります。

Q:JIS規格とは?

日本工業規格( Japanese Industrial Standards)です。日本の工業製品に関する規格や測定法等が定められた日本の国家規格のことです。医療機器も同様にこの規格を基準としています。